ゆうあい工房

「トイチ君(くん)の冒険(ぼうけん)」

ペケ君(くん)の嘘(うそ)の巻(まき)・第７回(だいななかい)

ささやきの森(もり)

ペケ君(くん)は、トイチ君(くん)のお母(かあ)さんの優(やさ)しさに触(ふ)れ、
お母(かあ)さんのことを思(おも)い出(だ)していました。



ペケ君(くん)のお母(かあ)さんは 神様(かみさま)の使者(ししゃ)の白(しろ)いキツネさんだったのです。
それはそれはとっても優(やさ)しいお母(かあ)さんでした。

ある日(ひ)のことです
ペケ君(くん)はいつもの様(よう)に森(もり)で遊(あそ)んでいました
遊(あそ)びに夢中(むちゅう)になり、気(き)がつくとペケ君(くん)は
「ささやきの森(もり)」の前(まえ)までやってきていました。



ペケ君(くん)は以前(いぜん)お母(かあ)さんから

「決(けっ)して ささやきの森(もり) に入(はい)ってはいけませんよ」

そう注意(ちゅうい)されていたのです。
でも・・ペケ君(くん)は ささやきの森(もり)の中(なか)が気(き)になって仕方(しかた)がありません。

「見(み)てみたいな～～。入(はい)って遊(あそ)んでみたいな～～
「誰(だれ)も見(み)ていないし・・・少(すこし)しだけなら・・」

すると ささやきの森(もり)に子供達(こどもたち)が迷(まよ)いこまないように番(ばん)をしていた
紫陽花(あじさい)さんたちが口々(くちぐち)にペケ君(くん)に語(かた)りかけました。

「いけないよ～森(もり)に入(はい)っちゃいけないよ～」
「良(よ)い子(こ)はここから先(さき)にはいけないよ～」

それでもペケ君(くん)は気(き)になって仕方(しかた)がありません。
そして とうとう「ささやきの森(もり)」の中(なか)に入(はい)ってしまったのです。



森(もり)の中(なか)は薄暗(うすぐら)く、
木々(きぎ)の色(いろ)もこの世(よ)のものとは思(おも)えないほど青白(あおじろ)く
不気味(ぶきみ)な感(かん)じが漂(ただよ)っています。

ペケ君(くん)はだんだん怖(こわ)くなってきました。

「怖(こわ)いよ～～　寒(さむ)いよ～～」

そして森(もり)から逃(に)げ出(だ)したくなりました

そんなペケ君(くん)を梢(こずえ)の上(うえ)から見(み)ていた者(もの)がいました
大(おお)きな紅(べに)コウモリがペケ君(くん)の様子(ようす)をジ～っと見(み)ていたのです。

「おい！小僧(こぞう)・・そんなところで何(なに)をしている！！」



突然(とつぜん)の声(こえ)にペケ君(くん)は驚(おどろ)いて振(ふ)り向(む)きました。
すると、そこには「ささやきの森(もり)」を支配(しはい)している
顔(かお)は恐(おそ)ろしいほど真(ま)っ赤(か)で 目(め)は異様(いよう)なほど黄色(きいろ)くギラギラ光(ひか)った
暗黒魔王(あんこくまおう)が立(た)っていました。

あの大(おお)きな紅(べに)コウモリは暗黒魔王(あんこくまおう)の化身(けしん)だったのです

「あ・・っ・・・」

ペケ君(くん)は恐(おそ)ろしさのあまり声(こえ)も出(で)ません

「お前(まえ)は・・確(たし)かあの白(しろ)キツネの・・・フフフ・・そうか・・」